法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−33. 弥生会計で経営分析−収益性指標(4)−
売上高売上総利益率について、具体的に図で教えて下さい。
@売上高売上総利益率の図
- イ.先にご説明した黒い服と、赤い服の例で、売上高売上総利益率の違いを図で説明します。
- ロ.下記の図で、例Aは黒い服、例Bは赤い服の場合で、同じ型の商品ですから売上原価は同じです。しかし、赤い服の方が人気があり1.5倍売れています。
- ハ.例Cは、赤い服の人気がなくなり、売れなくなった場合です。商品が売れなくても、服を作る原価は変わらないので、売上原価は売れている時と同じです。
A売れ行きは普通で、原価(50)が売上(100)の半分を占める、黒い服の例
B赤い服の売れ行きが冬場に好調で、単価を高くして、黒い服の1.5倍の売上(150)がある例
C赤い服が夏場に売れなくなり、単価を安くして、売上が落ち込んだ(75)場合の例
D会社の経営状態を左右するのは、売上高
- イ.売上が好調な例Bの場合は、売上総利益が大きく、ここから本部や販売部門の役員や従業員の給料など、販売費及び一般管理費を支出しても、まだまだ十分な余裕があります。
- ロ.しかし、売上高が落ち込むようになると、例Cのように売上総利益にダイレクトに影響してしまいます。商品を作る上で、売上原価を小さくすることは難しいので、売上が下がってもそれに応じて売上原価が下がることは無いからです。
- ハ.例Cの場合には、少ない売上総利益から、従業員の給料や本部の家賃などの経費を支払わなくてはなりません。販売費及び一般管理費の中には、売上高の変動とは関係なく発生する「固定費」があります。従業員の基本給や社会保険などの法定福利費、家賃などは固定費の代表的なものです。
- ニ.経費を支払いたくても、売上が減れば、当然入ってくるお金が減りますから、その支払いも難しくなってしまいます。
- ホ.赤字の会社には銀行からの融資も期待できないので、社長が会社にお金を貸し付ける、設備など会社の資産を売却する等の措置が必要になってきます。
- ヘ.結局、会社の経営状態を左右するのは売上高であると言えます。
- ト.売上高が大きくなれば、売上総利益も大きくなり、販売費及び一般管理費支払ってもなお余裕が出ます。資金が十分にあれば、次の販売戦略を立てることができ、それがまた新しい売上に繋がり、好循環が生まれます。