法人決算・申告 Q & A 〜 決算から申告までの会社の経理の重要性
a−34. 弥生会計で経営分析−収益性指標(5)−
営業利益と売上高営業利益率について、教えて下さい。
@営業利益を黒字に
- イ.「営業利益」は、「売上高」から、商品や製品を仕入れたり作ったりする費用である「売上原価」と、商品や製品を売るために必要な販売促進活動のための費用や、事業や会社を維持するための費用である「販売費及び一般管理費(販売管理費)」を差し引いた後の利益です。
- ロ.営業利益は、通常行う営業活動や事業存続のための費用を差し引いた後の利益です。本来の事業で、どれだけ儲かっているのかが分かります。
- ハ.営業利益がきちんと黒字であれば、本業でしっかり儲けているということです。営業利益の黒字化はその会社にとっても、融資を受ける銀行からの評価という点からも、非常に重要です。
A営業利益と他企業との比較
- イ.業種の異なる企業間の比較という点においても、営業利益は有益な指標となります。
- ロ.例えば電化製品の場合には、「製造業」は電化製品を作る側なので、なるべく売上原価をおさえ、大きな利益をのっけて、製品を売ります。
- ハ.その製品を買った「卸売業」は、仕入に大きな原価がかかることになります。つまり、売上高総利益が小さいということです。
- ニ.「卸売業」ではその後「小売業」に商品を流すので、販売管理費はそれほどかかりません。
- ホ.「小売業」では、商品を売るための人件費や、販売店舗の家賃などがかかりますので、販売管理費が大きくなります。
- ヘ.新商品を開発するために、多額の研究開発費をかけるのは、「製造業」です。新製品を世の中に知ってもらうために広告宣伝費をかけるのは「小売業」です。広告宣伝費は原価性が無いので、販売管理費に計上します。
- ト.結果的に、企業の営業活動の全ての費用を差し引いた「営業利益」で比べれば、異業種間での差が小さくなり、他の企業間の比較もしやすくなります。
B売上高営業利益率で比較
- イ.「製造業」と「卸売業」や「小売業」では、会社の規模も大きく違います。そこで、「営業利益」を「売上高」で割った、売上高営業利益「率」で比較すると、会社の規模に関わらずに比較が可能になります。
- ロ.売上高営業利益率に大きな影響を与えるのが、販売管理費です。新製品の開発のために莫大な研究開発費を投入していたとしても、それは一時的な費用です。それが良いものでよく売れれば、あとから十分な利益を確保できます。
- ハ.一方、ものが売れなくなったために、さらに広告宣伝をかけている場合には、注意が必要です。そもそも、販売に苦戦しているということですので、売上回復の見込みが薄い場合には、余剰在庫をかかえないように注意してください。
- ニ.売上高総利益率は業種によって大きな違いがあります。売上高営業利益率で比較すれば、会社の業種や会社の規模を超えて、他社との比較がしやすくなります。
- ホ.平均よりも高い売上高営業利益率を出せていれば、良い経営が出来ているといえます。営業利益は会社の営業の戦略によっても変わりますが、だいたい3〜5%、できれば7%以上の売上高営業利益率があれば安心です。